機長資格
2020.06.11
ー機長資格ー
皆さんがパイロット留学などで目指すパイロットの免許(資格)ですが、自家用操縦免許を取得した時点で「機長」と名乗れますし、飛行時間は「機長時間:PIC(Pilot in command)」になります。機長と言えば聞こえも良いですし、社会的信用も大きくなることは間違いありません。
しかしながら機長と一言で言っても実はエアライン(定期航空運送事業)の機長になるには実は多くの経験と資格が必要となり、それらをクリアした人が「機長資格」を有してエアラインで機長として職に就くことを許されます。
機長資格に必要な条件
では機長資格になるための要件はどのようなものなのかを解説していきます。
操縦士の資格には、定期運用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、準定期運送用操縦士の4種類があり、各資格別に「技能証明」が付与されています。それらの条件は6項目に分かれており、①年齢②知識③経験④飛行訓練⑤技量⑥医学適性に部類されています。そのほかに航空機の型式や等級などがありますがここでは割愛します。
これらの項目の基準を全てクリアしなければ操縦士の資格をを受けることができないため日頃の訓練や操縦免許取得後は慎重にかつ効率的に行う必要があります。
またこれらの技能証明を有していても機長として働くには「一定の年齢及び飛行経験を有すること」と航空法に定義されており、各航空会社もこの航空法を基準に機長資格を付与しています。
一定の年齢及び経験を有することの条件
これは定期運送操縦士を目指すうえで必要な条件であり、航空会社によっては別途基準が定められている場合はほとんどです。では解説していきましょう。
①年齢:21歳以上であること
②飛行経験
1500時間以上の飛行時間(操縦者として航空機の運行を行った時間)*別途解説
100時間以上の野外飛行(別途解説)を含む250時間以上の機長としての飛行又は100時間以上の野外飛行を含む500時間以上の機長の監督の下に行う機長見習(別途解説)い業務としての飛行
200時間以上の野外飛行
100時間以上の夜間飛行
75時間以上の計器飛行
上記が最低限の条件となっています。
補足説明
操縦者として航空機の運行を行った時間=機長でなくとも副機長としての業務も含まれる。
野外飛行=シュミレーターなど模擬飛行装置等を含まない。
機長見習い=機長昇格のための訓練時間や副機長としての時間
こうして見るといささか複雑に思いますが、要は「機長時間=経験」が大事ということになります。その機長時間をカナダやアメリカなのどのフライトスクールで可能な限り積むことにより日本での訓練の簡略化や効率化につながります。またこれらの条件はICAO(国際民間航空機構)でも同じような基準が制定されていることがほとんどのためパイロット留学などで後に海外での就職を目指す方にも「機長時間=経験」が大きな要素になってきます。
しかしながら総飛行時間1500時間となれば恐らく一億円の予算はくだらないでしょう。これはさすがに現実的ではないですよね。
ですから入社後の訓練で飛行時間の実績を積むことにより機長昇格試験を受けることができるようになります。
パイロットの育成にはとてつもなく費用がかかります。航空会社はその費用を可能な限り抑えるべく中途採用や有資格者の募集を積極的に行っているのでパイロット留学などで操縦免許の取得と経験を積むことがいかに大事なことかご理解頂けたと思います。
また上記意外にも航空身体検査の条件や英語力の証明なども必要になります。
パイロット留学は語学力に強くなり、効率的に飛行時間を伸ばすには最適な訓練環境であり大きな魅力でもあります。
またほとんどの航空会社が有資格者を募集する際は飛行時間が200時間以上で事業用操縦士免許保持者とあります。しかしこれはあくまで「応募資格」なので経験は多ければ大きほど有利なのは明らかです。カナダやアメリカで訓練をしている時やライセンス取得後はより多くの機長時間取得を目指して経験をを積みましょう。
今回はエアラインの機長に必要な要件を書きましたが、エアラインを目指さない場合はこのような要件はないことが多く各募集元によって変わるのでご自分の技量と将来性を計画しながら訓練に励むといいかもしれません。